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貸付競争の結末

2011.10.07

超エリートがうようよいる金融機関が、どうしてバブル期にあんなにおかしな行動に走ってしまったのか。金融機関は預金残高で銀行の大小が比較される。しかし、残高がいかに多くても、それを貸し付けて運用し、利息を稼がなければ利益は生まれない。ただ、金詰まりの時期には借入希望者も多く、預金残高の増加はそのまま融資残高と利益の増加に結びついた。戦後、金融機関はつねに金融逼迫の状況下にあり、あまり競争を経験したことがなかった。どちらかというと自己のペースを守って業務を行なっていけばよかった。逆にシャカリキに競争しても、あまり預金獲得の成果を上げることはできなかった。だから、業界での地位もよほどのことがないかぎり変動することはなかった。このような「護送船団方式」の中では、いかに行政との癒着を深め、抜け駆けをするかだけが勝負だった。ところが、さきほど触れた昭和六〇年のプラザ合意後、猛烈な金融緩和期に入ると、企融機関は大競争時代に入る。これはたいていの行員にとって、教科書に書かれていないはじめての経験だった。しかもその競争では、ただ貸せばよいのではなく、よい顧客に、多額の資金を、高いレートで貸し出さねばならなかった。そのためには、他の金融機関より早く融資を決定し、早く顧客に通知しなければならない。しかし、金融機関にとってよい貸付条件の顧客は、従来の取引先の中には少なかった。金融機関自身が融資希望者を開拓しないかぎり、融資額は増えず、利益を得ることはできなかったのである。そこで周囲を見回したところ、不動産というよいネタがあった。不動産価格は、戦後一時的に低迷したことはあったが、長期的には上昇していた。仮に値下がりしても、三年くらいで回復すれば、貸付期間が五年以上の不動産担保融資なら問題ない。それに、不動産が不足したからといって鉄や石油のように輸入するわけにもいかない。つまり、値上がりは自明の理だった。土地を担保に融資をすれば安全である。個人にも企業にも同様に融資できる。「よし!これで行こう」となった。

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